公開作曲メモ

タイトル通り“ネタばらし”のページ。普段あまりお見せすることのない作曲メモを、よせば
いいのに公開します!


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「In the Gardens of Japan/日本の庭園にて」より(2004/10/24 着手)

(3)菊月亭−栗林公園−、(4)曲水−仙厳園−
Kenny Fries (ケニー・フリース) 作詞 /きむら みか訳詞

声楽家の、きむら みかさんから「アメリカ詩人作家ケニー・フリース氏の日本庭園をテーマに
した英語詩に曲をつけてみない?」とお話を頂いたのが9月の半ば頃。
もうかれこれ1ヶ月以上経ってしまった、、。スイマセン。
「日本の庭園にて」は8篇の詩から出来ていて最初の2つ、(1)杜若−明治神宮−と(2)龍安寺
はすでに武智由香さんによる声と尺八のための曲が付いていて、2002年に初演されている。
私が作曲するのは(3)菊月亭−栗林公園−と(4)曲水−仙厳園−である。

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「In the Gardens of Japan/日本の庭園にて」/ケニー・フリース作詞/きむら みか訳詞


3. Kikugetsutei,Ritsurin Koen

Borrow the hills. The algae-filled pond
is the sea; three stones

its islands. To recreate the world, first
take it apart. Swallowed

in green, the water scooped
in your hands is the moon.


3. 菊月亭 ---栗林公園---

丘並みを借景する。藻でいっぱいの池は
海。石が三つ
それは島々。世界を再創造するために、まず
解体する。藻の緑に呑まれ
水 掬う両手に宿る
月。



4. Kyokusui, Sengan-en

How many times has the volcano
erupted since the poets sat

above the villa by the meandering
stream? Now, the view of the bay

marred by wires, passing cars.
Write it before the sak floats by.


4. 曲水 ---仙巌園---

幾度 火山は
噴火したか、歌詠みたちが
館の上、曲がりくねった流れの畔につどい居た時分より。
今、入り江の眺めを 切り裂く 電線と車の流れ。
詠め、酒盃の流れ寄るその前に。


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●2004/10/24(作曲準備メモ)

1、きむらさんの声を生かしたモノ。主にアカペラ。
2、原則として「英語」への音付けだが「日本語」の響きも、時として必要か?
3、アカペラにありがちな平面さを、どうやって立体的に表現するか?
4、短い詩、しかも英語の詩をどう引き延ばすか?単純にリフレインなところと、能の謡のように
  一音節を引き延ばすところ等があってもよいと思うが、果たして英語の歌詞の響きとして成立
  するかどうか?
5、きむらさん以外の声、たとえばケニー氏本人が、きむらさんの歌声の上に重なって詩を朗読す
  る部分があってもよい。
6、ケニー氏の詩に潜むモノ?コレを日本人の私がどのように理解するかが一番の問題だ。
  ただ単に「日本庭園」スバラシネ〜〜の世界ではなく、もっともっと深いところに、暖かさと
  それでいてどこかつきはなしたような?冷たさと、だからこそそこから生まれるエネルギーみ
  たいなモノを感じるのだが、ダメ!!!今の段階では上手く説明できない。

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●2004/10/27(作曲準備メモ)

1、辞書で発音記号をチェック!
2、英語で何度も音読。
3、英語が馴染んで来たら読むスピード、音量等を変化させ(ただ単に英語の響きとして、また意
  味もふまえた上で変化させたい所等を取り出して)読む。ただし音程はつけない。

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●2004/10/29(作曲準備メモ)

1、個々の単語の中でも伸縮して読みたくなる所、アクセントや強弱をつけたくなる所を見つけな
  がらひたすら読む。
2、英語で読んでいるうちに日本語的な響きや意味を持たせたい場所があったら、日本語を挿入し
  読んでみる。
3、単語の伸縮、強弱等を変化させながら、音読していく中で音程らしきものが発生したら、五線
  に音だけ記しておく。

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●2004/10/31(作曲メモ)
「菊月亭 ---栗林公園---」

1、五線に記した音程を、歌詩をつけずに歌ってみる。
2、1の後、更に付け足したい音や、削りたいライン等があったら、同じ譜面に色を変えて音程を
  記す。
3、いよいよ詞を付けて歌ってみる。色の違う音符の音程を行き来しつつ、音価(音の長さ)を、
  おおまかに記入していく。
4、結果的に英語の歌詞でありながら「日本的」な音の運びになってしまった為、曲の冒頭は英語
  を省き、ハミング等によってメロディーを全面に出す。ある程度、耳が「日本的」な音階に慣
  れ、情景としても聴き手に提示した上で、そのハミングの響きの中から英語の歌詞が自然に出
  てくるよう構成する。
5、曲の最後はやはり日本語でしめたいものだ。

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●2004/11/2(下書き)
「菊月亭 ---栗林公園---」

1、フリーリズムのものではどうしても、記譜の仕方が自分勝手になってしまうので、メトロノー
  ムを鳴らしながら、無理矢理、五線の枠組みの中に音符を書き込んでいく。
2、記譜に関しては、作曲家が見てわかる楽譜でなく演奏家にとって一番わかりやすい楽譜作りを
  目指したい!

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●2004/11/8(第1稿完成!)
「菊月亭 ---栗林公園---」

1、きむらさんにまずは見て頂いて、ご意見等伺ってから手直ししようと思い、郵便で送る。

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●2004/11/13(第1稿完成!)
「曲水 ---仙厳園---」

1、10/24〜29までは前曲「菊月亭 ---栗林公園---」と同時進行。
2、本日、記譜の段階に至るが、作曲メモを書く前に出来てしまったので、とりあえず、そのノリ
  を信用しようと思う。前曲と同様にきむらさんのご意見を待つことにする。

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●2004/11/16(きむらさんと電話で、、、。)

1、上記2曲に関して、2、3ヶ所、英語のアクセントと音形のアクセントの相違点を教えて頂く。
  なるほど、と感心。しかし曲全体の流れに関しては今のところ、大きな問題点はなさそうだ。
2、もう少し、寝かせてから清書予定。

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●2004/12/25(初めての音出し。)

12/16に実際にきむらさんに歌って頂く。
不具合な所、提案等、貴重なご意見を頂く。(英語の発音や意味として引き延ばしのおかしい所、
あるいは、アクセントがひっくりかえっている所、等)
本日、手直しが終わり、プリントアウトして清書完了!か?





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